NrealLightはARグラスの一種で、多くの可能性を秘めたプロダクトのひとつです。今回の記事では、NrealLightがどういった商品なのか、そして実際に使うためにはどんな手段があるのかをご紹介します。
NrealLightとは
(画像引用元:Nreal)
NrealLightとは、中国ベンチャー企業Nreal Ltd.が開発を進めているARグラスです。HoloLensやMagic Leap Oneなどの有名AR/MRグラスと並んで注目されているデバイスのひとつで、一般発売は2020年と言われています。Nrealは2017年よりこうしたARグラスの開発を進めており、2019年11月現在に至るまで、様々な企業向けイベントなどへ出展してきました。そのなかで発表された実際のモデルや今後のビジョンについて、多くの期待が集まっています。
そもそもARグラスって何?
NrealLightが分類されるARグラスとは、AR(拡張現実)を楽しむことができるメガネ型のウェアラブルデバイスを指します。ARとは現実世界にデジタル情報を付加する技術の総称です。例えば、スマートフォンのカメラ機能を通じて捉えた周囲の環境に、デジタル情報をスマートフォンの画面上で設置する機能などがあります。スマートフォンやタブレットを通じてデジタル情報を付加するアプリはすでに様々な形でユーザーに親しまれています。魔法や架空のモンスターを登場させるゲームや、家具の配置をシミュレーションできるインテリアアプリなどがその一種です。一方、ARグラスはメガネをかけた状態で、手ぶらでARを体験することができます。かけたメガネのレンズ部分に位置情報や物体情報などの環境に付与された情報が表示されるため、ユーザーは実際の景色や物体を見ながら情報にアクセスすることができるのです。
NrealLightに高まる期待
ARグラスの開発はマイクロソフト、グーグルなど多くの大手企業が挑戦しています。しかし、いずれも企業向けの商品開発が主で、価格は高価です。一方、NrealLightは一般ユーザーの利用を前提とした商品開発を進めており、見た目がスマートであるだけでなく、安価での発売を予定しています。今後多くのユーザーがAR体験を楽しむことができるデバイスとして、NrealLightが普及するかもしれません。
NrealLightでできること
次に、NrealLightの機能についてご紹介します。NrealLightはトラッキング機能や平面検出、画像追跡など多様なAR体験を実現する機能を備えています。デバイス本体には4基のカメラが搭載されており、デジタルな情報がそこにあるかのように表示できます。NrealLightの操作方法は、スマートフォンを傾ける、あるいは専用コントローラーをタッチするなどの簡単な動作のみです。レンズ部分やグラスの側面などで操作をする機能はなく、別端末での操作を行える仕様となっています。
NrealLightの特徴
(画像引用元:Nreal)
NrealLightの最大の特徴は、88gという非常にスマートなルックスが挙げられるでしょう。一般的なサングラスと遜色がない見ためをしており、長時間利用にも耐えうる装着感を味わえます。同種の商品であるマイクロソフトのHoloLensが579gであることと比較すれば、その軽さが際立ったものであることがわかるでしょう。また、NrealLightは開発者向けキットを1,199ドル、一般向けを499ドルで販売すると発表しています。日本円での正式な価格は未定ですが、開発者向けでも13万円程度ということは、他のARグラスと比較すると安価であることがわかります。
NrealLightで制限されていること
一方、軽量化や安価にこだわった半面、機能面では他のARグラスに劣る部分もいくつかあります。まず、先述したように操作方法への制限があります。他社商品が視線の動きのトラッキングや、手の動きによる操作などにも対応を進めている点から考えれば、今後のユーザー体験にある種の制限が生まれてくることが予想されるでしょう。また、ARの表示ができる奥行きや、場所を認識する精度もHoloLensやMagic Leap Oneと比べるとやや劣ります。したがって、スケールの大きなAR体験を期待するのは難しいかもしれません。
NrealLightの評判
実際にNrealLightを利用したユーザーはどのような印象を持ったのでしょうか。いくつかの評判についてご紹介します。NrealLightは現在正式な販売はスタートしておらず、開発キットや実機展示などで触れたユーザーの評価がいくつかある状況です。
「装着感は良い」という評判
- NrealLight(MRグラス)の実機体験してきた。見た目通り軽くて装着感良好。解像度・発色も良好。
- そう言えば昨日渋谷のスクランブルスクエアでNrealLight体験してきた。つけ心地も軽いし映像もきれいに見えた。
- デモは浮かんでる平面動画見るだけだったけど視野角広いしきれいだった。何より軽いしメガネかけてても大丈夫なのが嬉しい。本当に500ドルで発売されるなら欲しい
- きれい/視野角広い/6Dofがスムーズ 今まで受けてきた案件から考えると、主に価格や手軽さで、Holoよりもこっちの方がクライアントが喜ぶことも多いのかなぁと思いました
実際に触れたユーザーからは軽さや装着感への評価が高く、価格帯についても満足という声が上がっています。解像度や視野角についても問題なく、ARをストレスなく楽しむことができるアイテムであることが伝わってきます。
「トラッキング機能に難あり」という評判
- 本体の発熱がけっこうあるので長時間使用はきつそうなのと、SLAMがいけてないのか少し頭を振っただけでオブジェクト表示がガタついたのが気になった。オブジェクトが「本当にそこにある感」はない。
- トラッキングはもう一息、画質は良さそう。視野角もまあまあ良さそう。
- 縦の視野角が物足りないけど、デバイスの軽快さはすごい。安いし
一方、頭の動きについていけないため、リアルなオブジェクトの動きには限界があると感じるユーザーもいます。ある程度固定された状態で映像を楽しむぶんには問題ない一方、激しい動きを伴うコンテンツではデメリットが大きく見えるかもしれません。ほか、視野角の狭さについての言及もありましたが、装着感や価格の魅力が勝るようです。
NrealLightの価格
NrealLightの価格は、現在デベロッパーキット1,199ドル、ユーザー向けが499ドルと発表されています。日本での発売は正式に発表されていませんが、同価格帯と考えれば日本円でそれぞれ13万円程度、5万円程度と予想しておくと良いでしょう。NrealLightはすでにKDDIとパートナーシップを組んでおり、日本進出のタイミングや価格、販売経路についてはKDDIの動向に大きく影響を受けることが想定されます。
NrealLightの買い方
2019年11月現在NrealLightの正式販売は始まっていないため、購入経路はまだ定まっていません。今後KDDIを通じて日本進出が進むのであれば、2020年以降、auショップでの実機体験や、オンラインでの販売が始まるかもしれません。
NrealLightの最新ニュース
(画像引用元:KDDI)
2019年11月より渋谷スクランブルスクエアに開店したauショップでは、NrealLightの実機体験ができます。今後その他の店舗でのAR体験を充実させていくことも期待されますが、都内でいち早くNrealLightの体験をしたい方は渋谷スクランブルスクエア店に足を運ぶと良いかもしれません。また、2019年11月22~24日には、渋谷PARCO内の実証実験特化ショールーム「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」にて、NrealLightを利用したアート作品の展示が行なわれることが明らかになっています。同作品はPsychic VR LabによってARインスタレーションをNrealLight用に最適化されたものと報じられており、NrealLightの機能を十分に体感する機会として注目されています。
NrealLightの登場で変わるARグラス市場
これまで企業向けの開発が多くを占めたARグラス市場に登場する、一般ユーザーも使いやすく買いやすいNrealLight、日本ではKDDIがパートナーシップを組んだことによって、全国的な展開も比較的早い段階でスタートするのではないかと期待されています。ドコモと提携したMagic Leap OneとNrealLightが肩を並べ、2020年以降国内にARグラスのトレンドが巻き起こることで、市場には大きな影響が出るでしょう。
今後どのようなコンテンツが登場し、新たなエクスペリエンスが生み出されるのが、期待が高まります。
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