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新型コロナウィルスがAR / VR活用に与える影響

コラム

新型コロナウイルスの影響は、領域を越えて広く拡大しています。人々が集まる機会が激減している今、AR/VR技術は新たな働き方を提供するツールとして再注目されています。新型コロナウイルスと、その影響化のビジネスシーンにおけるAR/VR技術の活用事例について紹介します。

新型コロナウイルスの影響が各業界に拡大

新型コロナウイルスによる影響は、2020年3月現在も広がり続けています。特に、複数人以上が集まる場所や機会を避けなければならない状況がビジネスや生活スタイルに変化を与えています。人が集まることによって成立するイベントやリアルの店舗は中止や一時的な休業を余儀なくされるケースも増加しており、その経済的損失の大きさは計り知れない領域まで進んでいる状況です。

企業のリモートワーク移行が加速

こうした新型コロナウイルスの影響を受けて、企業ではリモートワークへの移行が加速しています。新型コロナウイルスの影響が拡大する以前からテレワーク・リモートワークへの移行は政府意向として推進されてきましたが、現実的な移行は思うように進まず、一部大企業やスタートアップ企業を中心とした先進的な取り組みが事例として話題になる程度でした。全国的に新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、出勤せずとも業務を進められる環境の整備は急務となっています。今回は、主にリモートワークをよりスムーズに行うための技術の一つとして、AR/VRのソリューションを紹介します。

リモートワークに活用されるAR/VRソリューションの事例

AR会議システム開発を進めるKDDIとSpatial

2020年2月17日、KDDI株式会社とSpatial Systems Inc.がリモートワークを前提としたユーザーコミュニケーションツールを開発することを目的としたパートナーシップを締結しました。両社は、同年より本格化する5G回線を利用した新たなニーズを先取する形でARデバイスを利用したコミュニケーションの創出を考えています。リモートワーク中の各メンバーが、ARを利用して同じ空間にいるように会議をできる日もそう遠くないかもしれません。開発中のコミュニケーションツールでは、スマートグラス「NrealLight」への最適化が発表されています。リモートワークにおけるこうしたツールが開発されることで、スマートグラスのビジネスシーンでの活用方法はさらに広がるでしょう。

NrealLightに関しての記事は以下をご覧ください。

ARグラスNrealLight(エンリアルライト)とは?買い方や価格・評判などをご紹介

 

ホログラフィー技術を活用したコラボレーション

(Image:Spatial)

先ほど紹介したSpatial Systemsは、このほかホログラフィーを利用したビジネスコミュニケーション用ツールの開発にも力を注いでいます。同社はデバイスを問わずアクセスできる、ホログラフィーを生かしたコラボレーション技術に将来性を見出しました。ユーザーがアップロードした写真から3Dアバターを作り出すなどの実用的な技術開発を進め、ハードウェアに対する初期投資費用を下げて利用できるようベースを作っています。MRグラスをかけたユーザー同士が、仮想現実を通じて同空間にいるようにコミュニケーションができるプラットフォームが生まれれば、リモートワークはより自然な働き方として受け入れられていくでしょう。顔を見ながら話せる場を提供したオンライン通話サービス「Zoom」が現在急成長を遂げているように、よりスムーズにオンライン上で会話するための技術として、ARやVR、MRの技術が求められていくのかもしれません。

VR技術を用いてバーチャル開催されるイベント

(Image:MUGENLABO DAY 2020)

今回大きなダメージを受けた領域のひとつが、リアルイベントです。人が集まれないなかでどのようにイベントを開催するか検討したときにその解決策として注目されているのがVRです。KDDIは事業共創イベント「MUGENLABO DAY 2020」を、2020年3月、VRを使ったバーチャル空間で開催することを決定しました。バーチャルイベントプラットフォーム「cluster」を活用する本イベントは、VRデバイスがあればどこからでもイベントに参加することが可能です。

同様に、HTCが開催する開発者向けのVRカンファレンス「Vive Ecosystem Conference(VEC)」も、今年はVRプラットフォームで行なわれることが決まりました。リモートワークとはやや異なりますが、こうしてイベントをバーチャル開催する際にVRプラットフォームが用いられる事例も増えてきつつあります。また、こうしたVRプラットフォームが注目される流れを受けて、ライブコンテンツを無料開放するプラットフォームもあります。

VRライブプラットフォーム「VARK」を運営する株式会社ActEvolveは、VRライブ2公演を無料公開することをリリースしました。新型コロナウイルスの影響は、VRプラットフォームの利用及びコンテンツへの需要を高めており、VR技術がより普及する一つの要因と捉えることもできるかもしれません。

子どもたちへのAR/VRコンテンツの普及

新型コロナウイルスによる影響を受けたのは、大人たちだけではありません。外で遊んだり、学校で学んだりする時間が減り、自宅で待機しなければならない子どもたちに向けて、AR/VRコンテンツへのアクセスを容易にする試みが始まっています。「おでかけめがねプロジェクト」を提供する株式会社Froritは、2020年3月17日、新型コロナウイルスで外出が困難になった子どもたちを始めとしたすべての人へ向けて、VRコンテンツの無償公開を始めました。同プロジェクトは、世界中の風景を集め、VR体験を通じて旅のような疑似体験をできるものです。YouTubeを利用した提供のため、多くの人が気軽にアクセスしやすい点も特徴です。

同様の事例として、株式会社ジョリーグッドは、同社が提供する発達障害支援VRプログラム内で「VR動物園」を公開することを発表しました。本プログラムでは、VRを通じてジャイアントパンダやイルカなど、人気の動物たちを間近で見ることができますAR/VR技術を利用した子ども向けのコンテンツは、これまでもさまざまな領域で開発されてきました。あくまでエンターテインメントのひとつの形としてリリースされてきたコンテンツがほとんどですが、新型コロナウイルスの影響下で、必然的なものとして需要が高まっています。

AR/VRの普及と需要が高まっていく可能性

新型コロナウイルスの蔓延は、自宅で個々に時間を過ごすことを強いています。そのため、AR/VRコンテンツが求められるシーンはより多くなり、ユーザー同士がAR/VRプラットフォームをベースとしてコミュニケーションを取ることも必然的に増えていくでしょう。これまでは副次的なコンテンツであったものが、主要なものとして求められる。あるいは、企業のひとつの主要ツールとして利用される。そのような変化が、新型コロナウイルスの影響によってAR/VR業界に広がるかもしれません。

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