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2019年〜2020年に資金調達した国内のAR / VR関連スタートアップまとめ
2019年〜2020年に資金調達した国内のAR / VR関連スタートアップまとめ

2019年〜2020年に資金調達した国内のAR / VR関連スタートアップまとめ

ナレッジ

資金調達は、スタートアップ企業の事業拡大に有効な手段のひとつです。成長が著しいAR/VR分野でも、積極的に資金調達が行われています。本記事では、2019年から2020年2月時点で資金調達したAR/VRスタートアップ企業について、それぞれの調達額や使途を紹介します。

AR/VRスタートアップ企業の資金調達が進む背景

AR/VR関連サービスを提供するスタートアップ企業には、多くの投資家が注目しています。その理由として考えられるのが、AR/VR市場の高い成長率です。IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社は、世界のAR/VRのハードウェア、ソフトウェアおよび関連サービスの市場予測を発表しています。最新の発表によると、2018年から2023年にかけての年間平均成長率は78.3%です。近年特に成長を続ける分野であるため、多くの投資家がAR/VRスタートアップ企業への投資に積極的になるのでしょう。

ARスタートアップ企業の資金調達事例

ここからは、2019年以降に資金調達を行ったスタートアップ企業の事例を確認していきましょう。

Art Technologies株式会社 (2019年6月)

Art Technologies株式会社は2019年6月、第三者割当増資を実施して総額1.34億円の資金調達を行いました。同社では、主軸である「アート販売・企業向けサブスクリプション事業」を加速させるべく、AR技術を利用したアート作品ECサービスを開発しています。AR技術を活用して空間にアート作品を映し出すことで、ターゲットであるオフィスや店舗への作品導入を促す効果が期待できます。同社は調達した資金をもとに、技術・事業開発や事業規模拡大を図り、テクノロジーを通したアートの普及を推進するとしています。

参考:プレスリリース

株式会社ENDROLL (2019年7月)

AR技術を用いたエンターテインメントコンテンツを開発・提供する株式会社ENDROLLは、2019年7月に資金調達を行いました。スマートニュース株式会社の堅田航平氏、株式会社メドレー執行役員の加藤恭輔氏、株式会社ペルソナイズ CSOの山本幸央氏・鈴木陽貴氏・清木昌氏をはじめとする個人投資家数名からの資金調達に成功しました。調達額は公表していませんが、数千万円規模だと推測されています。同社はAR周遊ゲーム「アソビルパーティ〜とびだせ!アソビルモンスター〜」など、没入感の高いコンテンツを提供しているのが特徴です。今回調達した資金は、採用やマーケティングの強化とAR周辺技術の研究開発推進に活用するとしています。また、具体的な研究内容として、現実世界をクラウド上に再現する技術である「ARCloud」を挙げました。

参考:プレスリリース

プレティア・テクノロジーズ株式会社 (2019年7月)

プレティア・テクノロジーズ株式会社(調達時社名:プレティア株式会社)は2019年7月に資金調達を実施し、セガサミーホールディングス株式会社、TBSイノベーション・パートナーズ合同会社、株式会社オー・エル・エム・ベンチャーズから合計で2.8億円を調達しました。同社は、AR技術を活用した謎解きゲーム「サラと謎のハッカークラブ」シリーズを開発・運営しています。同シリーズは、現実の街や施設内を実際に歩き回りながらストーリーを進めるのが特徴です。第1弾、第2弾ともに好評を博し、東京都渋谷区で継続的に開催されています。同シリーズの室内スペースに依存せず集客ができるというメリットを生かした今後の目標は、ショッピングモールや百貨店といった商業施設への展開です。今回調達した資金は、他地域の商業施設へ展開するため投資すると発表しています。

参考:プレスリリース

Cynack株式会社 (2019年8月)

2019年8月、Cynack株式会社はFounder Foundry1号投資事業有限責任組合(NOW)を引受先とする第三者割当増資によって、数千万円の資金調達を実施しました。同社は、ARはエンターテインメント分野だけではなく、幅広い分野で活用できる実用性に富んだ技術であると強調する会社です。ARのインフラを技術的に支える企業になることをミッションとし、独自の3Dマークアップ言語「OML」やAR専用ブラウザの開発を進めています。調達した資金は、ARの基礎技術と関連サービスの開発、さらに採用やマーケティングの強化に投資すると発表しています。

参考:プレスリリース

株式会社プレースホルダ (2019年11月)

株式会社プレースホルダは2019年11月、新規投資家および既存株主の計4社を引受先とした第三者割当増資を行い、合計約6億円の資金調達を実施しました。新規投資家はKDDI Open Innovation Fund 3号と株式会社オー・エル・エム・ベンチャーズ、既存株主は株式会社東京放送ホールディングスとみずほキャピタル株式会社です。同社はARやVR、センシングといったデジタル技術を活用したアトラクションを提供するテーマパーク「リトルプラネット」を運営しています。今回調達した資金は、アトラクションのクオリティ向上や設計・開発スピードの加速、そして地方での認知度向上に向けたマーケティングの強化に投資するとしています。

参考:プレスリリース

Graffity株式会社 (2020年1月)

2020年1月、Graffity株式会社は株式会社ディープコアとEast Ventures、さらに2名の個人投資家を引受先とした新株予約権付社債によって資金調達を実施しました。今回調達した資金は総額約1億円で、2018年12月の調達額と合わせると約2.1億円になります。同社はARコミュニケーションゲームの企画・開発を行っており、これまでにAR対戦ゲーム「ペチャバト」やARシューティングバトル「HoloBreak」を提供してきました。これまで同社はHoloBreakを教育機関やエンタメ施設で提供していましたが、2020年秋にはスマートフォンで遊べるアプリケーションとして、日本のアプリストアで正式リリースする予定です。調達資金の使途は、HoloBreakの開発費および開発チームへの投資としています。

参考:プレスリリース

VRスタートアップ企業の資金調達事例

続いて、2019年以降に資金調達を行ったVRスタートアップ企業の事例を紹介します。

株式会社Synamon (2019年3月)

株式会社Synamonは2019年3月、第三者割当増資と金融機関からの融資によって約2億4000万円の資金調達を実施しました。同社は、ビジネス向けのVRコラボレーションサービス「NEUTRANS BIZ」を提供しています。同サービスはVR空間を複数人で共有し、遠隔でのブレインストーミングやディスカッションといったビジネスコミュニケーションの促進を目指しています。資金調達後は、NEUTRANS BIZのさらなる利用促進を図り、ビジネスシーンにおけるVR技術活用の一般化を進めていく方針です。資金調達後の2019年4月にそれまで提供していたクローズドベータ版を大型アップデートし、正式版をリリースしました。

参考:プレスリリース

株式会社ambr (2019年4月)

株式会社ambrは、2019年4月に独立型ベンチャーキャピタルANRIや株式会社ModelingCafe、個人投資家数名を割当先とする第三者割当増資を行いました。さらに日本政策金融公庫からの借入も実施し、今回の資金調達総額は1億円となりました。同社は、VRデバイスを通じてアクセスする仮想世界「ambr」を提供する会社です。ambrではユーザーがアバターとなってアクセスし、他ユーザーとのコミュニケーションやゲームを楽しむことができます。調達した資金の使途として、ambrの継続的な開発と運営、そして対応するVRデバイスの増加を挙げています。資金調達実施時点で対応していたVRデバイスはOculus Goのみでしたが、その後2020年2月に、新しい対応VRデバイスとしてOculus RiftおよびHTC Viveが追加されました。

参考:プレスリリース

バルス株式会社 (2019年5月)

バルス株式会社は、2019年5月にGMOベンチャーパートナーズ株式会社、三井住友海上キャピタル株式会社を含む3社から、合計3.5億円の資金調達を行いました。同社は、3DCGを活用したAR/VRなどのxRコンテンツを企画・制作、提供している会社です。リアルとバーチャルの融合によって新たな体験を創造するべく、xR ライブ事業やコンテンツプロデュース事業、MV・番組等の作成事業を手掛けています。調達した資金の使途として、xRライブエンターテインメント分野における技術開発や設備への投資、国内外のライブ会場の拡大、そして手軽なバーチャルキャラクター制御技術の開発を挙げています。

参考:プレスリリース

株式会社ActEvolve (2019年8月)

VRライブプラットフォーム「VARK」を運営する株式会社ActEvolveは、第三者割当増資によって約2億円の資金調達を行いました。引受先としたのは、gumi ventures 3号投資事業有限責任組合、gumi X Reality、KLab株式会社、三菱UFJキャピタル株式会社、その他非公開株主です。VARKは、バーチャルアーティストのパフォーマンスを自分がライブ会場にいるかのようなリアルさで体感できるサービスです。アーティストが目の前に来るといった現実のライブでは難しい演出も可能にし、VRだからこそできるライブ体験を提供しています。VARKではこれまで、バーチャルユーチューバーによるライブをメインとしていました。今後は調達した資金を機能開発やコンテンツ制作、人材獲得に投資し、有名キャラクターやバーチャルでないアーティストのライブも実施すると発表しています。

参考:プレスリリース

成長するAR/VRスタートアップ企業の動向をチェックしよう

AR/VRの事業はこのように多くの投資家から期待されており、市場のさらなる成長が予測されています。これからAR/VR分野に参入する企業は、資金調達を実施したスタートアップ企業の事例を参考にしながら、計画的に事業を拡大させましょう。

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