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AmazonのAR(拡張現実)・VR(仮想現実)の取り組みをご紹介

コラム

AR/VR市場にはGAFAを筆頭にさまざまな大手企業が参入しています。このような大手企業がどのような動きをしているかは、業界に大きなインパクトをもたらします。

今回はAmazonが取り組むAR/VR関連のサービスや事例をご紹介します。

AmazonのAR/VR領域への投資や事業モデル

AmazonがAR/VR領域にどの程度の資金を投じているか正確なレポートはありませんが、巨大なオンラインショッピングのユーザー体験や運送業務には、AR/VRの技術が着実に採用されつつあります。AR/VRに対するAmazonの基本的なスタンスは、業務の効率化への活用や、顧客体験の向上で利用できるところには積極的に利用していこうというものです。また、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のひとつである「Amazon Sumerian」は、AR/VR/MRコンテンツを作ることのできるサービスとして注目を集めています。AWSは基幹システムやコーポレートサイトにまつわるあらゆる設計を網羅するクラウドサービスですが、そのひとつとしてSumerianが生まれたことは、逆に言えばAR/VRコンテンツを手軽に制作したいというニーズが一層強まっていることを示しているとも言えるでしょう。Amazonは自らがAR/VRのコンテンツやヘッドギア等関連プロダクトを発売しているわけではありませんが、一つひとつの取り組みを通じてAR/VRのニーズをうまく汲み取りながら利用しているという総括ができます。

Amazonの業務改善に利用されているAR/VR

Amazon内の業務改善に役立てられているAR/VR技術の一例をご紹介します。

特許を申請したAR商品配達サポート

2018年にAmazonが特許を申請したAR商品配達サポートは、ARグラスで配送スキームを効率化するための技術です。配達員はARグラスに表示される情報をもとに配送業務を行ないます。AmazonのAR商品配達サポートの強みは、ベテラン配達員のノウハウを反映する点です。従来のナビゲーションアプリは、あくまで登録されたルートなどの情報を提示するのみでしたが、それよりも効率的なルートやより良い駐車位置の判別などを人の経験をもとに表示します。

Amazonがユーザー向けに出しているAR/VR

Amazonはオンラインショッピングの体験をより良いものにするために、さまざまなAR/VRの技術を活用しています。現在すでにユーザーが体験できるものや、期間限定で発表されたものをご紹介します。

インテリアグッズの試し置き機能

(画像引用元:YouTube)

Amazonで購入することのできるインテリアグッズの一部は、AR機能「ARビュー」によって実際の空間に試し置きすることができます。ARとインテリア商品の相性は良く、IKEAのアプリなどでも同様の機能が人気を集めました。2019年5月からは日本のAmazonでもサービスが開始されました。

バーチャルメイクで化粧品を試す機能

(画像引用元:Amazon)

AR機能を利用した同様のお試し機能として、2019年「バーチャルメイク」機能を発表しました。資生堂やロレアルなど大手メーカーの化粧品を、スマートフォンのカメラ機能で映した自身の顔に合わせて塗ることができます。自分の顔に似合うかどうかを試してからでないと買いづらい化粧品は、オンラインではなかなか購入率が上がらない商品のひとつです。Amazonでは、AR機能によってその課題を解決し、他プラットフォームとの差別化を狙っているのでしょう。

期間限定のVRショップをオープン

AmazonはAR機能の利用だけでなく、VRショップの展開というチャレンジもしています。2018年、インドのモールで実施されたVRショップの体験は、大きな話題を呼びました。VRショップのなかでは、単に商品を閲覧するだけでなく、気球に乗って商品を見比べるなどVRならではの演出が楽しめます。また、シリアルの箱の中身をチェックするなど実際の店舗ではできない確認も可能です。AmazonによるVRショップの展開は、現在はこうした特別なキャンペーンとして公開されるのみです。今後のVRの普及率によっては、ユーザーが任意で楽しめるコンテンツとして展開されるかもしれません。

Amazon Sumerian

(画像引用元:Amazon Sumerianサイト)

2018年5月に発表されたAWSのひとつAmazon Sumerianは、直感的にAR/VR/MRコンテンツに紐づく3Dコンテンツを作ることができます。専門的なプログラミング知識を必要とせずにウェブ上でVR/ARコンテンツを作成することができ、12か月間無料の利用が可能です。AR/VRに関わるコンテンツを手軽に作ることができる点で、本サービスはAR/VRを楽しむ幅を広げる可能性を持ちます。また、同サービスは賞金を掲げたSumerianの活用事例のコンテストなども行なっており、タレントの発掘や、技術力の向上に対しても積極的に取り組んでいます。今後AR/VRのコンテンツメーカー同士のコミュニティや、コンテンツ制作を基軸にしたキャンペーンなどが普及すれば、これまでとは違ったAR/VRの普及につながるかもしれません。

Amazon×ARの将来

では、Amazonは今後どのようなAR/VRの利用を続けていくのでしょうか。

AmazonのAR機能付商品

Amazonはスマートホーム関連の商品開発や販売に積極的です。2019年メッシュWi-Fiルーターのメーカーであるeeroを買収したことからも、Wi-Fiでさまざまな家電を一元管理するシステムやライフスタイルを提案していくことに前向きなことが伺えます。

そのなかのひとつとして期待されているのが、ARミラーです。ARミラーとは、鏡に映った人の体を自動認識し、そこに商品を重ね合わせることで、バーチャルの試着体験を実現できるプロダクトです。AmazonはすでにARミラー関連の特許をいくつか申請しています。これまでAmazonがリリースしてきたARを利用した機能は、いずれもスマートフォンのカメラを利用したもので、アプリと連動するものです。一方、ARミラーは家具の文脈でARを利用するものなので、これまでのお試し機能とはまったく違った体験をユーザーに与えることができるでしょう。

Amazonが示唆するオンラインショッピングの今後

このように、複合的な形でAmazonのAR/VR領域の活用は続いています。AR/VRによるユーザー・エクスペリエンスの向上は、今後オンラインショッピングの選択条件の一つとなるかもしれません。より買いやすくて試しやすいAR/VR体験を持つほうが、リピーターを獲得するでしょう。

FacebookやGoogle、Appleなどの他のグローバルの大手企業と比較しAR/VRへの興味関心を表す積極的なリリースはないものの、ARと相性の良いECサイトを持つ強みと資金力を掛け合わせ、今後も新しい技術を展開し、競合との差別化を図っていくかもしれません。Amazonの動きは、オンラインショッピングにおけるAR/VRの活用方法を示唆しています。

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